こんにちは! ゆったです。
今回は、薬物による恐怖を描いたホラー作品、『レクイエム・フォー・ドリーム』について書いていこうと思います。
スタイリッシュな映像と絶望感のある展開が魅力で、ラストシーンに衝撃を覚えた人は多いことでしょう。
ここであり得ない質問ではありますが…、皆さんは薬物に手を出そうと考えたことはありますか?
中には、一度だけでも体験してみたいと思った人もいるかもしれません。
しかし、この映画を観たら、ほぼ確実に薬物に手を出さない人生へと変わることは間違いないでしょう。
それほど強烈なメッセージが詰まった本作について、早速紹介していこうと思います。
レクイエム・フォー・ドリーム』の日本版ポスター 『

※サムネイル画像はトレーラー映像の『REQUIEM FOR A DREAM “Director’s Cut” Trailer (2020) Darren Aronofsky』より引用しています。
目次
作品情報
原題 / Requiem for a Dream
製作年 / 2000年
製作国 / アメリカ
上映時間 / 102分
ジャンル / ドラマ・ホラー
※Filmarksより引用。
過激な描写を含む作品です。苦手な方は視聴をお控えください。
監督・脚本はアカデミー賞にノミネート経験のあるダーレン・アロノフスキーです。彼は、代表作である『ブラック・スワン』や『マザー!』のように、ダークな雰囲気のある作風が特徴的です。この作品は初期の作品ではありますが、ダークさは健在です。
また彼の作品には、今敏監督作品のオマージュシーンが見られます。この『レクイエム・フォー・ドリーム』でも確認できますので、注目してみてください。そのシーンについては[独特な映像表現]で説明しています。
メインに4人のキャラクターがおり、痩せたい孤独な未亡人のサラ、その息子でドラック漬けの生活を送るハリー、その彼女のマリオン、ハリーに麻薬の密売を持ち掛けるタイロンがいます。
サラを、『エクソシスト』にて悪魔に取りつかれた娘の母役を演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたエレン・バースティン。ハリーを、DCEUのジョーカー役や、最近公開されたソニー・スパイダー・バース(SSU)のダークヒーローである『モービウス』で主演を務めたジャレッド・レト。マリオンを、『トップガン マーヴェリック』や『ビューティフル・マインド』といった数々の人気作に出演しているジェニファー・コネリー。タイロンを『最終絶叫計画』のマーロン・ウェイアンズがそれぞれ務めています。

特にジェニファーコネリーは体当たりの素晴らしい演技を見せてくれたので、注目してみてください。
エレン・バースティン)・マリオン(ジェニファー・コネリー)・タイロン(マーロン・ウェイアンズ)・ハリー(ジャレッド・レト) 左から、サラ(




そしてこの作品を語るうえで外せないのは、ラストシーンの音楽。クリント・マンセルによって作曲された『Lux Aeterna』は、観客を絶望の淵に立たせました。
それでは[簡単なあらすじ&予告]に入っていきましょう。
簡単なあらすじ&予告
ブルックリンに住む孤独な未亡人・サラ。お気に入りのテレビ番組から電話抽選で出演依頼を受けたサラは、スリムなドレスを着こなそうとダイエットを決意する。一方、ドラッグ漬けの生活を送るサラのひとり息子・ハリーは、ドラッグの密売を持ちかけられ…。
海外版の予告映像
ざっくりと結末まで
孤独な未亡人のサラ(エレン・バースティン)にテレビ出演のオファーが来る。長年見てきた番組であったため、サラはとても喜び、昔着ていた赤いドレスを棚から取り出す。しかし、サラは偏った食生活により、昔と比べはるかに太っていた。ドレスが着れない自分の姿を情けなく思ったサラは食事制限に挑戦し始める。しかし、食への欲望が止むことはなかった。必ず痩せる…、彼女は急いで医者のところへ行き、”ダイエットピル”を受け取る。初めは効果を実感するサラだったが、精神的なダメージは計り知れないものだった。なぜならそれが違法な薬物だったからだ。しかし、テレビ出演と減量を夢見るあまり、彼女は薬物を使用し続けた。最終的に彼女の精神は完全に崩壊する。精神病院に収容され、電気ショックを用いた療法を受ける。彼女の夢は崩れ落ち、病院のベッドで孤独と妄想に取りつかれるサラだった。
サラの息子であるハリー(ジャレッド・レト)は、友人のタイロン(マーロン・ウェイアンズ)と共に薬物を楽しむ生活を送っていた。またガールフレンドであるマリオン(ジェニファー・コネリー)と、服屋を開くという夢を描いていた。この夢を叶えるため、彼はタイロンと共に薬物を捌くことでお金を得ようとする。出店の準備や薬物売買が順調に進んできたハリーは、母であるサラのもとへ訪れる。久しぶりに会う母の様子をおかしく思ったハリーは問いただした。サラは専門医から処方された薬だからと弁明するが、ハリーはそれが覚醒剤であると見抜いていた。サラに薬の使用を止めるよう促すが、夢に囚われる彼女の前で彼は無力であった。彼に他人を心配する余裕などなかった。薬物売買に手を出したことで、ハリーたちは既に依存状態に陥っていた。薬物を手に入れるべく、体を売り出したマリオンとの関係はうまくいかず、また注射し続けた彼の腕は腐ったように変色していた。やがて感染症を引き起こし限界を迎えた彼は病院へ運ばれる。目を覚ましたとき、彼は片腕が切断されたことに気付いた。その瞬間、片腕だけでなく大切な彼女までも、薬物という存在に奪われたことを理解した。希望を夢見た彼は、薬物にすべてを奪われ、絶望の海に沈んでいった。
ハリーの彼女であるマリオンは、服屋を開くという夢のために薬物売買に関わる。その中で薬物依存に陥った彼女は、薬物を手に入れるために自分の体を売り出す。もちろん彼氏であるハリーとの関係も悪化していった。最終的に、この彼女は地下で開催される凌辱的なストリップショーに出演することになる。服屋の夢などとうに忘れ、薬物の存在に身も心も囚われた彼女は、救いようのない現実を生き続けるのであった。
ハリーの友達であり、率先して薬物売買に手を染めるタイロン。最終的に警察に逮捕された彼は、刑務所で厳しい労働を強いられることになる。禁断症状に悩みながらも人外の扱いをされる刑務所内で、彼は昔の希望に満ちた自分に姿を重ね合わせ、深い絶望に落ちていくのだった。
そんな4人の最悪の結末で、物語は幕を閉じる。
ネタバレありの感想解説
簡単な感想
重すぎるよ…(´;ω;`)
強烈なメッセージ性と絶望感を煽る映像表現がとても印象的でした。
ラストシーンにかけての盛り上がりがしっかりしているので、最後まで画面に釘付けになります。
全員が流れ着いた最悪の結末に絶望し、最後には薬物の恐怖に震えていました…。
また、出演者たちの狂気の演技もこの映画の見所になっています。
個人的に推したいのはジェニファー・コネリーの演技です。アカデミー賞受賞経験があるだけあって、抜群に上手に感じました。後半に入ってからの体を張った演技は、称賛されるべき素晴らしいものでした。
ジェニファー・コネリーによる体を張った見事な演技




エレン・バースティンもベテラン女優の力量を見せつけてくれました。ラストにかけてやせ細ると共に、精神が崩れ落ちていく様子を圧巻の演技力で表現していました。
彼らの演技により、この映画にリアリティがもたらされ、また強烈な印象が生まれたと思います。



ストーリー面で個人的に良いなと思ったポイントは、サラのパートにあります。
サラ以外の3人は、彼らは自分から進んで薬物を入手したり、快楽のために接種していました。しかし、サラだけは自分が瘦せるために受けたカウンセリングにて、悪徳な医者から違法ではない痩せ薬として受け取っているのです。
これにより、薬がいかに日常生活に溶け込んでおり、私たちでも容易く入手できてしまうのか、という恐怖心を抱かせます。
このパートがあるだけで、単なる自業自得映画で語ってはいけないものへと昇華させたと思っています。
独特な映像表現
この映画の映像における特徴的な要素として挙げられるのが、薬物接種のシーンと、画面が2つに分かれる”スプリットスクリーン”と呼ばれる手法です。
まず、クローズアップが多用される薬物接種シーンですが、これがかっこよくて痺れます。
注射器に取り込む様子や、鼻に吸い込む様子。吐き出した煙や、瞳孔が開く様子をクローズアップを用いスタイリッシュに描かれています。
この映像が、私たちの中にあった薬物のかっこよさを思い起こしてきます。



また“スプリットスクリーン”もこの映画の印象を強烈にしています。
ハリーとサラが薬物を巡って口論するシーン




これは『キャリー』や『スカーフェイス』といった名作を数々手掛けたブライアン・デ・パルマのよく使う手法でもあります。
本当はデ・パルマ監督による”スプリットスクリーン”の表現を見せたいのですが、著作権の都合上貼れなそうです…。時間がある方はぜひYoutube等で調べて、見てみてください。個人的なおすすめは『キャリー』のプロムシーンです!
話が逸れましたが、”スプリットスクリーン”の説明に戻りましょう。
2つに分割された画面で、それぞれ違う映像が流れる。この手法により、2人のキャラクターが出る場面において、2つの画面でそれぞれの感情が画面越しに伝わってきます。
この画像とは違うシーンですが、特に序盤のハリーとサラの親子喧嘩のシーンは、異様に張り詰めた空気というか、自分も殴られるんじゃないかとひやひやするほどの緊張感がありました…。



今紹介した演出のみならず、手持ちカメラを用いて、揺れ動く心情を描いたりと様々な映像技法が見られます。
また[作品情報]で紹介したように今敏監督作品のオマージュも確認できます。
今敏監督作『パーフェクトブルー』へのオマージュシーン








こういった映像的な要素に注目することで、よりこの作品を深く味わうことができます!
夢への鎮魂歌(レクイエム)
この作品のラストシーンは映画史に残るほどのバットエンドになっています。



この作品は群像劇チックな構成になっていて、4人の物語が同時並行で進んでいきます。そしてラストシーンでは、この4人が行き着く最悪の結末を一気に見せられる形になっています。
またこの作品を語る上で重要になってくるのは、この4人全員が夢を持っていたということです。
サラはテレビ出演、ハリーとマリオンは服屋の出店、タイロンは明確な夢が描写されていませんでしたがラストシーンで夢や希望を持っていた幼少期を思い起こしていました。



ハリーがマリオンに届かないと確信してしまうシーン




『レクイエム・フォー・ドリーム』という題名もベストマッチしているなと感じました。
“Requiem”は”鎮魂歌”と訳されます。”鎮魂歌”とは、死者の霊を慰め鎮めるために歌われる歌のことです。このことから、この題名は“死んでいった夢に向けて歌う鎮魂歌”という意味になります。
この絶望感のあり内容を上手く表した、センスのある題名だと思います。
彼らが行き着いた結末をただ観るのではなく、これを教訓にしてこれからの人生を生きていきたいですね。
お気に入り度
5.0/5.0
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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