こんにちは! ゆったです。
今回はソリッド・シチュエーション・スリラーの金字塔である『ソウ』をレビューしていこうと思います。
グロ映画ブームに火をつけた作品であり、また壮絶な種明かしが癖になる作品です!
現在、10作ほどシリーズが続いていますが、この1作で十分に楽しめますので、ぜひ鑑賞していただいた上で、感想を共有したいです!
またこの作品が作られる前に、『ソウ0.5』と題される、短編映画が存在しています。そちらについても、ページ下部にかるーく感想を書いているので見ていってください!下のリンクから、『ソウ0.5』の紹介まで飛べます。
この脳裏に鮮烈に刻み込まれる傑作を、早速紹介していきましょう!
ソウ』の日本版ポスター 『

※サムネイル画像は公式トレーラー映像の『Saw – Unrated 4K (2004 Movie) Official Trailer – Cary Elwes, Leigh Whannell, Danny Glover』より引用しています。
目次
作品情報
原題 / Saw
製作年 / 2004年
製作国 / アメリカ・オーストラリア
上映時間 / 103分
ジャンル / サスペンス・スリラー
※Filmarksより引用。
グロ描写を含む作品です。苦手な方は視聴をお控えください。
ジャンルに関してはよく”ソリッド・シチュエーション・スリラー”と言われています。これは、限定的な空間で行われるスリラー作品ということを意味しています。
またジャンルではないですが、強烈なグロ描写も見どころになっています。
監督はジェームズ・ワン。有名な作品は、「別れの言葉はなしか?」でお馴染みの『ワイルド・スピード SKY MISSION』やDCコミックス作品の『アクアマン』など。『ソウ』以降、人気の絶えない監督さんです。また、今年の10月に彼の人気作である『死霊館』シリーズの最新作、『死霊館 最後の儀式』の公開を控えています。
脚本はリー・ワネル。この作品では主演も務めています。代表作は『透明人間』や『アップグレード』など、捻りの効いた展開が魅力の方です。この作品では俳優としての実力も発揮しており、彼の絶望した表情が物語を盛り上げてくれます。
このジェームズ・ワンとリー・ワネルは映画学校時代からの友人同士であり、この作品の後で、『デッド・サイレンス』や『インシディアス』シリーズをダックを組んで作っています。

主演は、脚本も務めるリー・ワネルに加え、ケイリー・エルウィズがいます。『ライアーライアー』でジム・キャリーと対立する役を演じるなど、目立つ役は少ないですがしっかり実力派の俳優さんです。
また『プレデター2』で主演を務めたダニー・グローヴァーや『パーソン・オブ・インタレスト』のマイケル・エマーソン、『ブロブ / 宇宙からの不明物体』のショウニー・スミスらが共演しています。
この作品の大事な情報として予算や短い製作期間が挙げられます。
120万ドルという低予算でかつ、18日と非常に限られた製作期間で撮影された作品になっています。
低予算ながら公開後は大ヒットを記録し、1億ドル以上の興行収入を達成しました。(IMDbProより)



先ほどにも書きましたが、『ソウ』の前に、ジェームズ・ワンとリー・ワネルが作品を売り込むために制作した『ソウ0.5』と題される短編作品が存在しています。
それでは、[簡単なあらすじ&予告]に入っていきたいと思います。
簡単なあらすじ&予告
薄汚れた広い浴室で目覚め、戸惑う若者・アダムと医師のゴードン。やがて、「時間内に相手を殺して逃げろ」というメッセージを受け取り、離れた場所に鎖でつながれて身動きできない2人は、知恵を絞りながらも、エゴまみれの醜いサバイバルゲームを開始する。
海外版の予告映像(4KUNRETED)
ざっくりと結末まで
薄汚れた広い密室で目を覚ましたカメラマンのアダム(リー・ワネル)と医者のゴードン(ケイリー・エルウィズ)。彼らの目の前には死体が転がり、また片足は鎖で壁に繋がれていた。彼らのポケットに入っていたテープレコーダーにはとあるメッセージが入っていた。アダムは「ハートに従え」と、ゴードンには「6時までにアダムを殺さなければ、自分だけでなく妻子も死ぬ。」と告げられる。ゴードンは犯人に心当たりがあった。それは、ゲームと題した理不尽な殺人ゲームを仕掛け、数々の人を殺した連続殺人鬼ジグソウであった。
「ハートに従え」というメッセージから次々と隠されたアイテムを見つけていくアダムとゴードン。彼らが脱出へと一歩一歩進む中、外では色々なことが起こっていた。ゴードンの妻子は犯人に人質にされ、また過去にジグソウと因縁のあるタップ刑事(ダニー・グローヴァー)は、とある事件で容疑者であったゴードンをジグソウではないかと疑い、今なおゴードンの家を張り込んでいた。
自分たちがなぜ閉じ込められたのか…。ゴードンとアダムは自分たちの素性を話し合う。そして、ゴードンは不倫をしていたことで家族の関係が険悪になっており、アダムはその不倫の様子を撮影するため、見知らぬ誰かに雇われたカメラマンであることが判明する。その時、アダムはゴードンに写真を見せ、不倫の事実を問い詰める。ゴードンは写真を見るや否やあることに違和感を覚える。それはゴードンの家を映した写真に、彼の病院で雑用係として働いているゼップ(マイケル・エマーソン)の姿を見つけたからだ。ここでゴードンはゼップこそがすべての犯人で、ジグソウであると確信する。
密室に閉じ込められた2人は様々な画策をするも逃げることは叶わなかった。ついに犯人に指定された6時を過ぎてしまう。犯人は人質の妻子を使い、ゴードンらに電話を掛ける。電話越しの犯人の声は予想通りゼップのものであり、ゴードンは怒りに震える。
そんな中、ゴードンの妻が銃を奪いゼップに抵抗する。また異常を感じたタップ刑事もゴードンの家に突入する。銃撃戦が繰り広げられる中、ゼップはアダムの殺人に失敗したゴードンを殺すべく、銃撃戦をかいくぐり、彼らが閉じ込められている密室へと向かう。
ゴードンは気が気ではなかった。妻子が殺されたのではないかという不安から、自らの足を切断し鎖を外すことで、ここから抜け出すことを決意する。自らの足を切り落としたゴードンの前に、ゼップが現れる。ゼップはルールを達成できなかったゴードンを殺そうとするが、アダムがゼップを背後から攻撃し、ゼップを殺すことに成功する。犯人はいなくなった。密室から逃げ出すため、足を切り落としたゴードンが外に助けを呼びに行くことになる。アダムもゴードンが助けを呼んでくれることに期待し、一息つくアダム。彼らには不思議な友情が芽生えていた。
ゴードンが助けを呼びに行った後、アダムはゼップの所持品を漁っていた。その時、ゼップのポケットからテープレコーダーが見つかる、アダムは恐る恐るそれを再生する。
「やあ、ヒンドル君。病院でのように”ゼップ”と呼ぼうか?君の体に作用の遅い毒を注入した。もし助かりたいなら、ある母娘を殺すのだ。」
アダムは唖然とした。ゼップはただの操り人形にしかすぎず、真犯人は別にいると。絶望したアダムの前で、中央にあった死体が突然立ち上がる。なんと、それこそがジグソウ本人であったのだ。
アダムは持っていた銃を撃とうとするも、錠に繋いでいた電気ショックを流され、あえなくやられてしまう。絶望のあまり叫び狂うアダムを前に、ジグソウは「ゲームオーバー」と告げ、出入り口を閉ざす。暗闇に閉ざされたアダムが叫び続ける中で物語は幕を閉じる。
ネタバレありの感想と解説
簡単な感想
ラストやばすぎるだろ!!!
個人的にどんでん返し作品の中でも、最も破壊力が高く、卑怯なラストだと思います(笑)
だって、あの病院で寝転んでた人が犯人だと思わないでしょ(笑)
低予算、限られた制作期間を感じさせないほどのずば抜けた完成度で、ジェームズ・ワンの天才っぷりが伺えます。
演出にも色々なこだわりが感じられました。特にゲームの早送り演出などは、他の映画では滅多に見ない手法だったので非常に印象に残りました。
よくサスペンス映画を観ている人は、ラストの展開以外はよくある展開というか、予想のできるお話だと感じるでしょう。それで舐めていた所にこんなオチをされたら、みんなびっくり仰天間違いなしな感じがします。
リー・ワネル) 犯人を前に絶望するアダム(




他のどんでん返し映画に、『ソウ』レベルのオチを期待すると痛い目を見るので、気を付けましょう(笑)
戦慄の結末と大胆な伏線
何度も言うようにこの作品の最大の見せ場は、ラストのどんでん返しに詰まっています。
このどんでん返しをほのめかすように、作中では様々な伏線が張られています。
今回は代表的な2つの伏線を紹介したいと思います。
1つ目は、“ジグソウは最前列で見るのが好き”という伏線です。その説明のために、前置きでゲームの説明をしたいと思います。
今回の密室監禁が起こる前もジグソウは幾つかの死のゲームを遂行していました。
作中で様々なゲームが登場していますが、主人公たち以外のゲームとして3つ紹介がされています。
1つ目は、ポールという男性に仕掛けられた、カミソリまみれの部屋から時間内に抜け出すというゲームです。
2つ目は、マークという男性に仕掛けられた、地面にガラス片が撒き散らされた部屋で、ロウソクを頼りに金庫の番号を探し当てるというゲームです。
そして3つ目は、アマンダという女性に仕掛けられた、他人を殺しその胃袋からカギを取り出すことで、自らにセットされた逆トラバサミを外すというゲームです。
ショウニー・スミス) 逆トラバサミゲームに挑戦するアマンダ(




このアマンダのみがゲームに打ち勝ち、生き残ることが出来ました。アマンダは『ソウ2』にも登場する重要人物なので、シリーズを見続ける予定の人は、ぜひ注目して観てください。
今、説明したゲームが行われた事件現場で調査をする刑事たちは、どの殺人現場にも覗き穴のような、ジグソウが直接死の瞬間を見れるような状態になっていたことに気付きます。そこで刑事は「”ジグソウ”は最前列で見ることが好きなようです」と発言します。この発言に当てはまるように、今回の密室監禁でも被害者たちを最前列で鑑賞するジグソウなのでした。



そして2つ目の伏線ですが、これに気付いた人は凄いと思います…。
先程も言った通り、ジョン・クレイマーはゴードンの病院の患者です。そのため前半な場面で、前頭葉に手術不可能な腫瘍のある患者として寝たきりのジョンの姿が映っています。そして、その彼が寝ているベッドに付いているテーブルの上に、アマンダのゲームに使用した逆トラバサミの設計図が書かれているという大胆な伏線が見つけられます。また、この場面では物語のキーアイテムであるペンライトも確認できます。
観た人なら分かると思いますが、このシーンは本当に気付きません。というのも同じシーンでゼップも登場するので、ゼップの伏線のためのシーンだと私たちは思い込んでしまいます。



ジョン・クレイマーとその後のシリーズ展開
今作の真犯人であったジグソウは、ゴードンの病院の患者であったジョン・クレイマーという男でした。そんな彼を演じるのは、『ミシシッピー・バーニング』や『グッド・フェローズ』に出演したトビン・ベル。この作品以降もジョン・クレイマー役として出演し続け、今ではシリーズの顔のような存在になっています。
この作品以降は、ジョン・クレイマーが仕掛ける罠や、彼を継ぐ後継者をメインにシリーズが展開されていきます。
シリーズ内の細かい立ち位置を言うと、8作目と9作目の『ジグソウ : ソウ・レガシー』と『スパイラル : ソウ オールリセット』はリブート版になっています。しかし10作目の『ソウX』では1作目と2作目の間で起こった出来事を描いた作品になっています。そのため公開時は非常に話題になりました。
ソウX』でもまだまだ現役のトビン・ベル 『




『ソウ』は現在(2025/07/10)、10作ほどシリーズ展開をしています。
10作品をまとめてみました
・ソウ (2004)
・ソウ2 (2005)
・ソウ3 (2006)
・ソウ4 (2007)
・ソウ5 (2008)
・ソウ6 (2009)
・ソウ ザ・ファイナル 3D (2010)
・ジグソウ : ソウ・レガシー (2017)
・スパイラル : ソウ オールリセット (2021)
・ソウX (2023)
全部観た私から言えることは、「『ソウ3』までは見てくれ!」ということです。
というのも、『ソウ2』では今作の裏で何が起こっていたのかを、『ソウ3』ではジョン・クレイマーの行く末を見ることが出来ます。これらを観ることで、『ソウ』への理解が格段に深まると思います。
また『ソウ』の魅力であるグロ描写は、シリーズが進むにつれどんどん残酷になっていきます。



自分がどこまで残酷描写に耐えれるか試してみるのも、このシリーズの魅力なのかもしれませんね(笑)
『ソウ0.5』について
ここからは、ジェームズ・ワンとリー・ワネルが売り込むために制作した『ソウ』のパイロット版を紹介していこうと思います。
正式な題名は『Saw』(2003)ですが、見易さの観点から『ソウ0.5』という名称で言わせてもらいます。
『ソウ0.5』はYoutubeで簡単に視聴が可能です。
有志の方が日本語字幕を付けてくださったバージョンもありますので、ぜひ鑑賞してみてください。
有志の方には感謝しかないです m(_ _)m
それでは、実際に鑑賞した感想を書いていこうと思います!
『ソウ0.5』のストーリー(ネタバレあり)
取調室にて、デヴィッド(リー・ワネル)はタバコを吸いながら自分の身に起こったことを話した。
彼は病院の清掃員として働いていた。ある日、帰宅しようとするデヴィッドに何者かが殴り掛かる。意識を戻したデヴィッドは、古びた部屋の中で、椅子に縛り付けられ、口には何か大きな機器が取り付けられていた。困惑する彼を前に、突如としてテレビがついた。そこには謎のお面をつけた不気味な人形がおり、「ゲームをしよう」とあることを伝えた。それは、デヴィッドについている機器を時間内に外さなければ、口が裂かれてしまうということ、そして部屋に置いてある死体の腹を切り、中に入っているカギを取り出せば、その機器を取り外し生き残ることができるということだ。彼は絶望しながらも生き残るために死体の腹から鍵を取ろうとする。しかしこの死体は実際に死んでおらず、麻酔で眠らされていただけだった。彼は生き残るため、殺人をしてでも鍵を入手した。そしてこのゲームに勝つことができたのだ。その瞬間、テレビに映っていた謎の人形が。自転車に乗ってデヴィッドの前に現れた。その人形は言う。「君は変わったのだ、命の重さを知ったからな」と。
取り調べする刑事から「お前は殺人をした。」と質問責めを受けるデヴィッドだが、彼の顔はどんよりと曇ったままだった。
そして、場所が変わり、古びたトイレ(『ソウ』の舞台のような場所)に変わる。壁の1枚が剥がれ落ち、そこから覗く謎の人物の目を映し、物語は幕を閉じる。
『ソウ0.5』の簡単な感想(ネタバレあり)
結末の見せ方にゾッとする…。
9分という短い尺にも関わらず、内容の質や演出がとても良かったです。これを見ると、『ソウ』を作る前から構想が出来上がってたんだなと感じます。
この『ソウ0.5』には、本編とは違う点がいくつかあります。
まずは、主人公の境遇です。『ソウ』でリー・ワネルが演じたアダムですが、今回はデヴィッドという名前になっています。また職業も写真家が、清掃員になっていました。また大きな違いとして、今回はこのデヴィッドが逆トラバサミトラップを受けています。



リー・ワネル) 逆トラバサミゲームに挑戦するデヴィッド(




そしてジグソウの思想にも少し違いが見えました。『ソウ』では何か問題を起こした(例えば隠し撮りをしたとか)人のみがゲームに参加させられましたが、今回はその明確な理由がありませんでした。
デヴィッドが病院でタバコを吸う描写があるので、もしかするとそれが原因かもしれませんが、明確な理由付けは確認できませんでした。
それに対し、ジグソウの目的は本編と同じものでした。



終わり方も『ソウ』とは違った、非常に良い終わり方でした。
最後にジグソウの正体を明かした本編と違って、今作ではジグソウは最前列で見ているということに重きを置いた終わり方になっていました。
ラストシーンにて、壁から覗く謎の人物の目




ゾッとする終わり方で、このパイロット版を見せられたら、『ソウ』を作らせた映画制作会社の気持ちも分かりますね。
『ソウ』が気に入った人はぜひ鑑賞してみてください!
お気に入り度
『ソウ』
4.5/5.0
『ソウ0.5』
4.5/5.0
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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